頭頸部がん切除後の再建
頭頸部がん(舌・咽頭・喉頭・顎などのがん)では手術により物を食べること、声を出すことが不可能または不自由になることがあります。また、顔面や顎に高度な変形が残り、人前に出にくい状態になることもあります。形成外科では耳鼻咽喉科や口腔外科でのがん切除と同時に、患者さん自身の体の一部の組織を移植し再建を行います。当科で特に用いられる手技は、手術用顕微鏡下の血管吻合(マイクロサージャリー)による遊離組織移植(皮膚・脂肪・筋肉や骨や腸管の移植)術です。これにより、術後合併症が減少し、良好な機能・形態が得られるなど、治療成績が向上しました。
代表例では、
(1)舌がんに対する舌全摘・亜全摘後の遊離皮弁による再建
(2)上下顎がんに対する血管柄付き骨移植による再建
(3)下咽頭・頸部食道がんに対する遊離空腸移植による再建
などが挙げられます。
そのほか、耳下腺腫瘍 (じかせんしゅよう)などに伴う顔面神経(顔の表情を作る筋肉を動かす神経)切除後に、当科では神経吻合・神経・筋肉などの移植を行い、術後に重い麻痺が起こらないような処置を行っています。
なお、上記のようながん切除と同時に行う即時再建ばかりでなく、がん治療後の2次変形(残存変形)に対しても、形成外科的な手技は大変有用であり、患者さんの社会復帰に大きな福音となっています。
http://www.jsprs.or.jp/member/disease/malignancy/malignancy_01.html
(日本形成外科学会HP「形成外科が扱う疾患」へリンク)